「読んだ本」とはちょっと違うんですが、最近出た電子書籍リーダ「kobo Touch」を入手したので、簡単にご紹介しておこうかな、と(というか、そもそもこういった話題は本サイトの方で書いていた記事なんですけど、本サイトの更新に使ってるBind for Weblifeというソフトが死ぬほどクソなソフトで、Javascriptまわりのバグのせいでいつの間にか更新すらできないという事態になりまして、しょうがないんで今後はWordpressで構築してる「読んだ本」側でこういった記事も書いて行きたいと思います)。
【外観・使用感】
まず外観ですが、これ、かなり良い感じの大きさだと思いますね。
サイズは縦16.5cm×横11.4cm×厚さ1cm。BARNES & NOBLEのnookと比べてひと回り小さいくらいで、片手で無理なくホールドし続けることができそうな調度良いサイズのイメージです。
重量185gということで、初代iPadが650gくらい/iPad2が600gくらいでこのぐらいの重さがあるとちょっと片手で持ち続けるのは厳しい感じですが、koboは重さ的にも余裕で片手で持ち続けられるくらいです。
本当の書籍の重量で言えば文庫が160g、漫画の単行本が200gとかですので、まさに「本1冊分」程度の重さと言えます。
で、実際の使用感ですが、やはりE Inkのディスプレイは読みやすいですね。
WIREDの人気記事で無料で読めるものがあったので、とりあえずちょっと読んでみました。
かなり鮮明でくっきりとした感じの表示なので、ディスプレイで読んでいるということをあまり意識せずに読めます。
ここの部分はさすが専用端末だけあって、iPadやPCには負けない絶対的なアドバンテージなのでは無いかと。
【取り扱い電子書籍タイトルなど】
で、続きましては肝心の取り扱い電子書籍数とか、そこら辺のお話です。
まず、2012年7月24日段階の取り扱い日本語電子書籍数は19,268タイトル(koboストアでの検索結果、以下同)でした。
結構沢山あるかな、という印象でしたけれど、その内訳はと言いますと、なかなか微妙な感じになってまして…。
まず、上記の数字の中には青空文庫が10,741タイトル、漫画が1,664タイトル含まれていましたので、ココらへんを差し引いて、実際に商用で出版されている「小説」「新書」などの電子書籍は(最大)6,863タイトルということになります。
これは正直言ってかなり貧弱と言わざるを得ない数字ですが、取り扱い書籍を観る限り、特定の出版社に依存していたり、古いタイトル、新しいタイトルなどに偏りがあるというわけでも無い様なので、徐々に充実していってくれるのであれば、現段階での取り扱い書籍数についてはそこまで問題視しなくてもOKかなと思いますね。
上記とは別に無料タイトルとして、先ほど「試し」で読んでみたWIRED人気記事の様なものも含めて2,000タイトル近くも無料で読めるものがあるようなので、ココらへんもちょっと興味深いです。
他には例えば、プロジェクトXのストーリーが一話100円というキリの良い数字で読めたりして、こういうのも電子書籍ならではなのかなと。
【電子書籍の提供価格とメリットと”期待”】
幾つかの書籍について価格を調べてみたんですが、電子書籍は紙で売られている書籍とは異なる価格で提供されているものが多いようです。
例えば以下の様な感じです(”→”の左が紙の書籍の価格、右がkoboストアでの電子書籍の価格です)。
・文春文庫 横山秀夫「クライマーズ・ハイ」 660円→497円(25%OFF)
・文春文庫 池井戸潤「シャイロックの子供たち」660円→497円(25%OFF)
・早川書房 マイケル・サンデル「これからの『正義』の話をしよう」945円→700円(26%OFF)
・小学館文庫 仙川環「感染」580円→607円(5.65%UP!)
上の3点については(たまたまかもしれませんが)通常の紙の書籍と比べて25%も安く書籍が提供されているわけで、コレは素晴らしいことなのかなと思いましたね。
月に文庫を3冊読む人がいて、従来そこで2,000円/月払っていたとして、電子書籍に切り替えることで500円/月のコストがカットできるわけです。kobo本体の価格が約8,000円だとしても、それなりに本を読む人であれば1年そこそこで充分にペイしてしまうかなと。
それに加えて、本棚のスペース問題とか、通勤カバンがパンパンになる問題とかそういった「物理的なスペース」の問題まで解消してくれたり、「読みやすさ」「新たな利便性」的な付加価値を追加してくれるとなると、かなり嬉しい話なのでは無いかと。
この「25%OFF」がどうやって実現できているのか詳細は不明なんですが、書籍を電子化することでの「コスト削減」によってコレがもたらされているんだとすると、「書籍の未来」が見えてきそうな気がしますね。
つまり、著者や出版社などの「作り手」側を圧迫することなく、電子書籍化という技術革新がもたらした「メリット」を、「作り手」と「読者」で上手に分配できた結果の一部がこれだとすると、本当に素晴らしいことなのでは無いかと。
「読者」が享受したコストメリットは長期的には「書籍の購入頻度向上」という形で「作り手」にも再還元されていくと思いますし(実際にはそんなに単純ではなく、本が安くなった分別のものを買う、という説もあるんですが…ま、ある程度はあるかなと…)、「書籍の購入頻度向上」は最終的には読者の知識・文化レベルの向上など、日本社会全体へ良い影響を与えていくのでは無いかな、と思うわけです(本サイトでも2〜3年くらい前に同じような話を書いた記憶があります)。
でも、一番下の小学館文庫・仙川環先生の「感染」は、紙の書籍よりも電子書籍の方が高いんですが、こりゃ一体どういうことなんでしょうかね?他も調べてみたところ、例えば「のぼうの城」なども、紙の書籍が480円なのに対して電子書籍が497円で売られていたりして、こちらも小学館文庫なんですが、小学館文庫としての方針なのか、偶然どちらも小学館文庫なだけで、何か別の理由があるのかというあたりはイマイチ不明なんですが、正直いってこういうのは辞めて欲しいかなと思いますね…(完全な素人考えですが、電子書籍が紙の書籍よりも高くなる理由が一つも思いつかないんですけれど…)。
【koboストアで電子書籍として販売されているもの以外】
まず、本サイト「良書は地球を救う」であつかっている青空文庫のpdfを読んでみました。
koboにはブラウザ機能が無いので、PCと接続してPDFファイルをコピーするという手順が必要になります。単にコピーすればよいだけなので大した手間では無いんですが、せっかくwifiでの通信が出来る端末なのだから、ブラウザでネット上をブラウジングして、そのままpdfファイルをコピーして持って来られるようにすればいいのに、とか考えてしまうんですが…。「こういうのも、既得権益とか囲い込みの関係なのかな」とか考えてしまうのは、僕がひねくれているからなんでしょうかね?
で、読むのは何の問題もなく
と言いたいところなんですが、デフォルトでそのまま表示させると、なんでだか微妙に一番右端の文字の端が切れてしまいます…。解像度とかサイズの問題なんですかね?
で、画面の下の方を長押しして設定バーを出して、表示サイズを調整すると、
きちんと表示出来るようになりました、
と思ったら、今度はゴミの様な形で端の部分の表示が残ってしまう…。
もしかしてkoboのバグなんでしょうかね?ま、実際に読むのに不便は無いですし、あまり細かいところは気にしないタイプなので、バグならそのうちFixされるかなということで放っておきたいと思います。
pdfにして取り込んだコミックなんかも、普通に読めますよ。
【総評】
サイズ:このサイズなら読むのも疲れず、持ち運びもじゃまにならず、かと言って小さすぎず、という感じで、個人的には完全に合格な絶妙サイズ。
読みやすさ:E Inkは良いです。
取り扱い書籍数:現在は少ない。が、出版社関わらず書籍を取り扱っているし電子書籍化が進んで行きそうな「予感」が感じられるので今後には大いに期待したい、というところです。
コストパフォーマンス:良いと思います。一冊辺り200円オ・ト・クとして、kobo Touchで40冊読めばペイする計算なので、まずは僕が読みたい本を優先的に40冊くらい電子書籍化して欲しいですね(そういうの、楽天でやってくれませんかね。「koboを買った人は、電子書籍化して欲しい本を100冊申請できる」みたいな。で、全部が全部電子書籍化されるわけじゃ無いけれど、要望の多いものから10〜20冊位が電子書籍化されて、普通よりも25%位安く読めるならそれだけで充分ハッピーなのでは無いかと思うんですけれど。たとえばボクは、昔読んで売ったり無くしたりしちゃった本とかで、5巻10巻セット位のものとか、たまに読み返したいなと思い出す本が結構あるんですよ。でも、買うのはお金ももったいないし、きっと邪魔になるし、と。で、そういう本とも25%OFFとかになってるんだったら電子書籍でもう一度買い直しても良いかな、とか思うんですけれど)。
その他:SonyのLIBRIeが出た時、かなりの期待を込めて買ったんですが…。今度こそ電子書籍がきちんと普及してくれたら良いな、と思ってます!
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