『パーシージャクソンとオリンポスの神々1 盗まれた雷撃』

【メモ】

・ハリー・ポッターが大好きな小学生の息子が、ハリー・ポッター・シリーズ全巻読破(&当然映画もコンプリート&何度もリピート)後に、学校の図書館で発見してきたのがこちら。

・ADHDと難読症を持ち、ニューヨークにある問題児専門の寄宿学校に通う少年パーシー。実は彼は、ギリシャ神話の神々と人間の間に生まれた、特別な能力を持つ半神半人の「ハーフ(デミゴッド)」で、という、ファンタジーと現実世界が程よく入り混じった世界観。完全にファンタジーの世界に入ってしまうと、現実離れしすぎて少し入り込みづらさが出てきてしまいそうなところ、このくらいのところで絶妙にバランスをとってあるあたりが、ハリー・ポッター・シリーズや最近のディズニー映画にも通ずるような、「とっつきやすさ」「読みやすさ」にもつながっているのかなと。

 

【子どもの読書に関わるデータ】

ふりがなの状況:総ルビ(全ての漢字にふりがなが振られています)

文字の大きさ:小さい、大人向け文庫とほぼ同等サイズ

読んだ人(当時):小学校3年生・月齢9歳6ヶ月・本好き

所感:ハリー・ポッター・シリーズのときと同じく、総ルビの「静山社ペガサス文庫」で読ませました。ハリーのときは、小1の後半で読み始めたので、総ルビの恩恵に最大限にあやかってましたが、あれから2年たち、今回は小3のなかごろ。とはいえ、難しい漢字もいくつも出てきますから、やはり総ルビは、読書好きの低学年児童の強い味方だなと改めて感じました。

 

【本文書き出し】

第1章 パーシー、数学の先生を消してしまう

おれだって望んでハーフに生まれたわけじゃない。

もし君が、自分もハーフかも、と思ってこの本を読んでいるなら、すぐにこの本を閉じること。そして、親が君の生まれについて語る嘘を信じて、ふつうの生活を送ること。

ハーフは危険な目にあう。恐怖の連続だし、たいていの場合、苦しい、いやな死に方をする。

君がふつうの子で、この本を作り話と思って読んでいるなら、けっこう。どんどん読んでほしい。この本のなかみがどれも作り話だと思えるなんて、うらやましい。

けど、もしこの本を読んでいて思い当たるところがあるなら−−−みょうな胸騒ぎがするなら−−−すぐに読むのをやめること。君もハーフかもしれない。しかも、自分でそれに気づいてしまったら、「やつら」が気づくのも時間の問題。君をさがしにくる。

おれはちゃんと警告したぞ。

 

おれの名前はパーシー・ジャクソン。

現在、十二歳。数ヶ月前まではヤンシー学園の生徒だった。ヤンシーはニューヨークの北部にある、問題児専門の私立の寄宿学校だ。

おれが問題児かって?

まあ、みんなそう思っているだろうな。

自分の短くみじめな人生からどこを取り出しても、それを証明できる。けど、ほんとうにやばいことになり始めたのは今年の五月。おれたち六年生全員が校外授業でマンハッタンに行ったとき−−−問題児ばかり二十八人の生徒と先生ふたりが、黄色いスクールバスに乗って、メトロポリタン美術館に行った。古代ギリシャとか古代ローマのいろんなものを見に。

そうなんだ−−−拷問だろ。ヤンシーの校外授業のほとんどは拷問だ。

けど、この校外授業の引率は古典のブラナー先生だった。だから、ちょっと期待していた。

ブラナー先生は…

 

【表紙及び冒頭5ページ】

 

【基本データ】

静山社ペガサス文庫

2015年11月11日 初版発行

リック・リオーダン 作 金原 瑞人 訳 作  「パーシージャクソンとオリンポスの神々1-上 盗まれた雷撃」

ISBN978-4-86389-315-3

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レオ・レオーニ 作/谷川健太郎 訳『どうするティリー?』

どうするティリー? 表紙

【メモ】

・「かべ」の近くのある土地で、平和な日々を普通に送り続けるねずみたち。そこに「かべ」があることにすら気がつかないかのように、「かべ」の存在を気にかけないで暮らすねずみたちの中で、ただの一匹、一番若いティリーだけは、その「かべ」のこと、「かべ」の向こう側のことを、いつも考えていた。

・本当かどうか定かでないですが、妻から聞いたところによると、この「かべ」の話は、1961年8月から28年間、ヨーロッパのある場所に存在していた、ある「壁」をモチーフにしているんだそうで。

 

【子どもの読書に関わるデータ】

ふりがなの状況:総ルビです。絵本ですが、(おそらく)小学校低学年までを対象とした本で、小学校1年2年で習うレベルまでの漢字も使用されています。

文字の大きさ:比較的小さい。

所感:絵本としては比較的文字が小さく、漢字も使用されていますが、文章は短く簡潔、平易で読みやすいです。総ルビですので、幼稚園のお子さんでも十分に読める内容だと思います。

 

【本文書き出し】

かべが なかったころのことを、

ねずみたちは もう、おぼえていなかった。

かべは あるのが あたりまえだった。かべのむこうに なにが あるのか、

そもそも むこうなんてものが あるのかどうかさえ、気にしなかった。

ねずみたちは かべなんて ないかのように、まいにちを くらしていた。

 

ねずみたちは、おしゃべりずきだった。

みんな あれこれ きりもなく、おしゃべりしたけど、

だれひとり かべのことは 口にしなかった。

ただ、 いちばん わかい ティリーだけが、かべをみつめ、

むこうがわのことを かんがえた。

 

よる、みんなが ねむっているあいだ、

ティリーは わらのベッドで、目を おおきく あけて、

かべの むこうの、 みたこともない いきものの すむ、

うつくしく ふしぎな せかいを ゆめみるのだった。

 

【表紙及び冒頭5ページ】

どうするティリー? 表紙どうするティリー? 表紙裏

どうするティリー? 見開き2 どうするティリー? 見開き3

 

【基本データ】

あすなろ書房

2002年8月30日 初版発行

レオ・レオーニ 作 谷川健太郎 訳 作  「どうするティリー?」

ISBN978-4-7515-1991-2

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文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』

【メモ】

・東はモンゴル、カンボジア、パプアニューギニア、タイ、ラオス、ネパール、インドから、西はモロッコ、ハンガリー、ギリシャ、南米へ飛んでペルーまで。世界中十七カ国の「ごはん」と「台所」を、たくさんの写真とともに紹介する、ちょっと変わった紀行文。

・「食」という、どこの地域の、どんな人にも共通するよろこび、楽しみを通して見えてくる、各国、各地域ごとのリアルな日常生活、文化や習慣。その国の基本的なデータもあわせて紹介されています。読書でありながら、実は社会科。一石二鳥。おもしろいし、一石三鳥かも。

・テレビの番組に例えていうならば、ドキュメンタリー番組であり、紀行番組であり、料理番組であり、グルメ番組でもある、そんな内容。「世界・ふしぎ発見!」や「イッテQ!」的な。

 

【子どもの読書に関わるデータ】

ふりがなの状況:総ルビで、全ての漢字にふりがなが振られています。

文字の大きさ:小さい。

所感:読書というよりは、どちらかといえば、「世界各地の文化・習慣を紹介する社会科系エッセイ」という感じの本ですが、異文化を食という切り口でまとめた内容は、小学校中学年〜高学年くらいのお子さんの興味や知識欲をほど良くそそってくれるのではないかと思います。おとなが読んでも当然おもしろい、そんな本です。

 

【表紙、冒頭の登場人物紹介ページ及び本文冒頭3ページ】

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』表紙_[0] 文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』表紙裏_[0]

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』目次2_[0]_[0]文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』目次1_[0]_[0]

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文2_[0]_[0]文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文1_[0]_[0]

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文4_[0]_[0]文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文3_[0]_[0]

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文6_[0]_[0]文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文5_[0]_[0]文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』本文7_[0]_[0]

 

【本文書き出し】

”モンゴル

モンゴルはとても広い国で、日本の約四倍の面積がある。しかし人口は三百六万人ほどしかいない。日本の人口は一億二千万人だから、それとくらべるとずいぶん少ない。国土の大半は草原で、遊牧にむいた土地だ。

私たちがお世話になったのは、ベギ・ドルスチェレンさんのお宅だった。羊や山羊、馬、牛そしてヤク(標高の高いところでもくらせる牛のなかま)をたくさん飼っている遊牧民で、「千の家畜をもつ男」として政府から表彰されたこともある。「遊牧民」は家畜の群れとともに、水や牧草をもとめて移動しながらくらす人たちのこと。広大な草原を移動しながら、家畜をそだててくらしているのだ。といっても…”

 

【基本データ】

偕成社

二〇一六年一二月 初版一刷

文 中山 茂大 写真 阪口 克『世界中からいただきます!』

ISBN978-4-03-645060-2

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