【メモ】
・「かべ」の近くのある土地で、平和な日々を普通に送り続けるねずみたち。そこに「かべ」があることにすら気がつかないかのように、「かべ」の存在を気にかけないで暮らすねずみたちの中で、ただの一匹、一番若いティリーだけは、その「かべ」のこと、「かべ」の向こう側のことを、いつも考えていた。
・本当かどうか定かでないですが、妻から聞いたところによると、この「かべ」の話は、1961年8月から28年間、ヨーロッパのある場所に存在していた、ある「壁」をモチーフにしているんだそうで。
【子どもの読書に関わるデータ】
ふりがなの状況:総ルビです。絵本ですが、(おそらく)小学校低学年までを対象とした本で、小学校1年2年で習うレベルまでの漢字も使用されています。
文字の大きさ:比較的小さい。
所感:絵本としては比較的文字が小さく、漢字も使用されていますが、文章は短く簡潔、平易で読みやすいです。総ルビですので、幼稚園のお子さんでも十分に読める内容だと思います。
【本文書き出し】
”
かべが なかったころのことを、
ねずみたちは もう、おぼえていなかった。
かべは あるのが あたりまえだった。かべのむこうに なにが あるのか、
そもそも むこうなんてものが あるのかどうかさえ、気にしなかった。
ねずみたちは かべなんて ないかのように、まいにちを くらしていた。
ねずみたちは、おしゃべりずきだった。
みんな あれこれ きりもなく、おしゃべりしたけど、
だれひとり かべのことは 口にしなかった。
ただ、 いちばん わかい ティリーだけが、かべをみつめ、
むこうがわのことを かんがえた。
よる、みんなが ねむっているあいだ、
ティリーは わらのベッドで、目を おおきく あけて、
かべの むこうの、 みたこともない いきものの すむ、
うつくしく ふしぎな せかいを ゆめみるのだった。
”
【表紙及び冒頭5ページ】
【基本データ】
あすなろ書房
2002年8月30日 初版発行
レオ・レオーニ 作 谷川健太郎 訳 作 「どうするティリー?」
ISBN978-4-7515-1991-2
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