【メモ】
・西遊記には、絵本から大人向けの小説まで、いろいろな版があるけれど、小学校低学年を対象としたものでは、これが一番読みやすくおもしろいのではないかと(これ以外に、子ども向けの選択肢としては、岩波少年文庫版・伊藤 貴麿・訳の「西遊記(上)(中)(下)もあり、こちらは、岩波文庫全10巻のダイジェスト。こちらも内容的にはかなり充実しておりオススメだが、総ルビではないので、小学校4年生程度からが対象かなと)。
・わがままで横暴な小猿が、めきめきと力をつけ、猿の王様となり、天界で大暴れし、最後にはきついお灸を据えられて、三蔵法師のお供をすることに…。物語の前半では、まるで、少年漫画の強い悪役のような姿で描かれる孫悟空(後半もそういった姿は残り続けますが…)。悪さを繰り返しても、簡単にはやっつけられない、簡単には更生もできない、生身の人間(ではなく猿ですが)臭さのあるリアルな姿。そして、その人間臭くリアルな主人公が、三蔵法師のお供の旅の中で、未熟ながらも様々な経験をし、感じ、学び、成長していく姿が、とてもよく描かれている作品だと思う。
・蟠桃園になる、九千年に一度熟す不老不死の仙桃。汁の滴る、よく熟れた甘い桃に、がぶりと食らいつき、むしゃむしゃとたいらげる。おいしそうな表現。この桃、いつか食べてみたい。
【表紙及び冒頭5ページ】
【子どもの読書に関わるデータ】
ふりがなの状況:総ルビです。舞台が中国という設定のせいもあるんでしょうが、かなり難しい漢字(恐らく常用漢字でないものもあります)も出てきますが、全ての字にふりがなが振られています。
文字の大きさ:普通。おとなが読む普通の文庫サイズの文字と同等です。
所感:話の内容としてはかなりわかりやすく、また、漫画のドラゴンボールなどとの関連もあり、今どきの小学生でも比較的すんなりと入っていけるのではないかと思います。小学校低学年からでも読めると思いますが、かなりちゃんとした「本」という感じですので、読めても小学校2年生、本が好きで本に慣れ親しんでいれば、という感じかと思います。
【基本データ】
青い鳥文庫
2013年3月15 第1刷発行
呉 承恩・原作 小沢 章友・文 山田 章博・絵「西遊記」
ISBN978-4-06-285347-7
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